読書感想
八つ墓村に続けて読んでみた横溝正史の代表作。 これも映画が大ヒットしたがまともに見たことは無い。 基本設定は八つ墓村よりもわかりやすい遺産相続を巡る連続殺人事件である。だが、この物語のキモは犬神佐兵衛翁の遺言。これに二重三重の仕掛けがあり珠…
ユーチューブで77年の映画版を観たので原作を読んでみた。 嫁は高校の図書員の時に権力濫用で横溝正史を全巻図書室に揃えたというツワモノで自宅本棚にも文庫が全巻揃っている。 俺は今まで推理小説はほとんど読んでこなくて横溝正史は全く読んだことがな…
敗戦国日本に戦勝国アメリカは進駐軍として日本各地に駐留した。進駐軍の話は自分の親からも少し聞いていたが「ギブミーチューインガムと言えば笑って投げてくれた」というよくある話しか聞いたことがない。それは大部隊の進駐軍がいなかった地方の話で大部…
内容とは関係ないが初めて電子図書で購入してタブレットで読んだ。紙と全く遜色なく読めた。 元祖官能小説と言えばこの方なのだが初めて読んだ。巻末解説で初めて知ったが東大出て芥川賞を受賞し、そのまま文芸大家一直線コースを歩まず官能小説を書き始めた…
ダブル・ファンタジー/村山由佳(文春文庫) 官能小説検索ヒット率堂々第一位(笑)の名作。いきなり官能シーンからスタートする。人生こじらせ気味の人気女性脚本家が主人公。彼女が憧れの年上男性演出家と現代の文通、メールのやり取りを通してお近づきに…
奥様はクレージーフルーツ/柚木麻子(文春文庫) 官能小説で検索するとこの作品も割りと上位に出てくる。ご無沙な主人公奥様が様々なシチュエーションでスレスレのところまで行く12篇の短編小説集。いくつかフェチに刺さるシーンはあるものの官能描写はほ…
太平洋戦争体験者25人の証言集。 今から20年前は2003年だ。ついこの前の様な気がするし、俺の感覚では90年代でさえ最近だ。そう思うと俺たちの世代が小学校時代に聞かされた太平洋戦争の話は聞いている俺たちにとっては遠い昔だったが話している方…
太平洋戦争末期、日本海軍によって作られた特攻兵器「桜花」。簡単に言えば爆弾にロケットを着けて人が操縦して自爆する飛行機である。話は少しそれるが呉の大和ミュージアムに一枚の1メートル四方ほどの設計図が展示されている。当然ながらすべて手書きで…
個人的に宮本輝氏の作品を読むのはかなり久しぶり。昔「錦繍」を勧められて読んでかなりはまっていた時期があり氏の作品は10冊はゆうに超えて読んでいた。宮本氏の小説は美しい言葉が織りなす美しい物語が淡々と進んでいく。しかし背景には何か不幸とか死…
小学生を主人公とした5編の短編集。それぞれはつながりが若干ある。ごく普通の典型的優等生ではない小学生達が主人公。彼ら小学生たちが丁度二十歳ぐらいになって回想と言う形でも描かれる。さらに回想場面には当時の担任の先生が聞き役として出てきて記憶…
目の調子が悪くてなかなか書けなかった読書感想だが、復活第一弾はあの四次元のしゃべり古舘伊知郎さんの本から 古舘氏は新日本プロレスのアナウンサーとして有名になったアントニオ猪木とは縁もゆかりもありすぎる人で猪木の死す!衝撃が書かせた自伝本。 …
目の病気と老眼のため読み書きに不自由しているのだがコロナに罹った3月ごろは、 時間があるのに任せてかなり読んだ。でもそれを感想文としてまとめることが出来ていない。コロナ後遺症の無気力みたいなのもあったと思う。それと老眼の進行も凄く早かったの…
著者の猫組長は、れっきとした元ヤクザの組長にして経済評論家。曰く「経済ヤクザとして天国と地獄を味わっだ俺だからこそ、この暴力の時代を評論するのに最適だ」。書かれたのは安倍元首相暗殺直後で、安倍元首相の外交上の功績を激賞している。ロシアのウ…
本物の戦場カメラマン 宮嶋茂樹氏の戦場レポートシリーズは昔から愛読している。戦場できれいなねーちゃんを撮るというふざけた企画もあったが、我々が思い浮かべる弾が激しく飛び交う最前線から一歩引いたところも戦場であり、その戦場でも美しさを忘れない…
映画化原作。舞台は昭和の香りがまだ残る平成初期にかけての長崎市郊外の田舎町。。昭和生まれの俺なんぞはあー昔はこういうのいたわ、とかあったなーこれ、と郷愁に誘われて仕方がなかった。読書欲が激落ちの暑い夏に読むにはピッタリだった小学生が主人公…
一般的に黄金期と言われる80年代ヘヴィメタルを各年毎に区切って対談形式で振り返っている。80年代直前78,79年あたりも前置き的に書かれているがこの時期を書いた本は少なく、個人的に洋楽に目覚めた時期なのでかなり共感できて面白い。 ヘヴィメタ…
ほとんど作者の回想録に近い内容。これが面白いかと言われると正直なところ今一つ。ここ最近、文庫になった作品は今ひとつ面白くない作品が続いている印象が強いな。パニック障害になったあたりは同じ病気持ちなのでかなり共感できるのだが、なにせ物語がど…
いわゆるロック系ジャーナリストではない人が書いた本だった。そのため多くはイギリスのロック系雑誌のインタビューや記事からの引用で構成されている。コージーの足跡を知るには良いが内面に迫るというような内容ではなかった。あまり知られていない少年時…
山陽新聞で連載され私が伊東潤氏を知る切っ掛けとなった作品。本能寺の変以降、秀吉と共に天下取りを成し遂げた後、世の静謐のために死んでいく千利休を描く。今に伝わる茶道の祖である千利休は、ただの茶人ではなく、今で言うところの武器商人で、茶道はそ…
80年代に隆盛を誇ったヘヴィメタルは90年代に入ると湾岸戦争によってアメリカ全体のお祭りムードが吹っ飛び一気にグランジブームとなりヘヴィメタルは衰えていった・・・と一般的に言われているが、ここ日本では事情が異なりバブル崩壊後も音楽シーンの…
2022年5月31日リタイア 歴史ミステリーの金字塔という帯たたきは魅力的だった。そして大戦後のベルリンが舞台とくれば面白そうだと読み出したが、いっこうに面白くならないので100ページほどでリタイアした。おれの期待していたのと違うだけだけど…
巨大カマキリが出るパニックホラー、ただそれだけで興味をそそられて読んでみたもののカマキラスが出てくるゴジラ映画みたいなおおらかな作品ではなかったよ。まず巨大カマキリが出てくるまでが長い。それとまあタイトルと落ちに深く関係しているのだけど主…
今でも海運は日本の物流を支えているが江戸時代までの瀬戸内海海運は日本そのものを支えていたと言っても過言ではあるまい。当時の和船は風と潮が動力なので、具合が良くなるのを待つための港があった。明治維新の頃に新しい航法と風と潮を待たなくて良い西…
桶狭間から大阪夏の陣までを時系列に並べた短編集。 タイトル作の「家康謀殺」は家康の神輿を担ぐ輿丁に紛れた暗殺者を描くが 伊藤作品にある拳を握りしめたくなるような力が入る瞬間が無くてちょっとがっかり。確かにあの落ちだとなかなかそういうシーンは…
最初に断っておくが俺は法廷小説、法廷映画が苦手だ。 伊東氏の作品は戦国小説を中心に読んでいるが太平洋戦争物は初めて。 作品の元になっているのは太平洋戦争末期インド洋で起こったイギリス商船ビハール号における撃沈・捕虜殺害事件。この事件を引き起…
下記の様な感想を書きかけていたのだが、ロシアのウクライナ侵略によってソ連=ロシアへの印象も変わり心境がより複雑化したので感想はまた後日。 書きかけだった感想) ソ連軍に対するイメージが180度変わりました。第二次大戦においてソ連はドイツに侵…
熊本県天草市の天草エアラインを巡る物語。故郷熊本の話なので読んでみたが、題材としては面白いとは思うものの読み物としてはあまりにも無駄が多く冗長で上巻の途中で飽きてしまった。それと作品中でも度々指摘されている無駄な公共事業を担当公務員が仕事…
トヨタの内幕を描いたと言われ一時的に名古屋で発禁になったとの噂がある「トヨトミの野望」の続編。「トヨトミの野望」はノンフィクションかどうかは別として勧善懲悪様式美でストレートに面白かった。この逆襲編では前作で悪代官的役柄だった豊臣統一が主…
武田家滅亡によって人生の切所を迎えた5人の武将たちを描く短編集。5篇の中で一番強烈なのは最初の「木曽谷の証人」。武田を真っ先に裏切ったとされる木曽義昌の慟哭が描かれます。織田軍侵攻を真っ先に受けるのに地理的に新府から遠く援軍もほとんど期待…
言わずとしれたビートルズの名曲をタイトルとしている純愛タイムトラベルSF。死んだ人に会いたいという考えはおそらく万人が思うであろう実現不可能な願望だ。若くして夫を亡くした主人公はある日突然「デイトリッパー」という時間を遡れる機械を紹介され…