METAL RYCHE m-2316

METAL RYCHE鋼鉄帝国として20年ほど前から やっていたホームページから転進しました。 「鋼の旋律」は主に音楽関係について。 ジャンルは軽音楽なので気楽に読んでくれ。 「鋼鉄の言霊」は社会一般に対する我が闘争。 我が妄想に近いが、我が早漏よりもましであろう。まあ、これも気楽に読んでくれ。 「銀河のスクラップ」は本や映画の感想など人生のスパイスだな。たまに塩味がきついが気軽に読んでくれたまえ諸君。

銀河のスクラップ

ウクライナ戦記 不肖・宮島 最後の戦場/宮島茂樹(文藝春秋)

本物の戦場カメラマン 宮嶋茂樹氏の戦場レポートシリーズは昔から愛読している。戦場できれいなねーちゃんを撮るというふざけた企画もあったが、我々が思い浮かべる弾が激しく飛び交う最前線から一歩引いたところも戦場であり、その戦場でも美しさを忘れない…

サバカン/金沢知樹(文藝春秋)

映画化原作。舞台は昭和の香りがまだ残る平成初期にかけての長崎市郊外の田舎町。。昭和生まれの俺なんぞはあー昔はこういうのいたわ、とかあったなーこれ、と郷愁に誘われて仕方がなかった。読書欲が激落ちの暑い夏に読むにはピッタリだった小学生が主人公…

ビッグ・イン・ジャパンの時代(BURRN!叢書)

80年代に隆盛を誇ったヘヴィメタルは90年代に入ると湾岸戦争によってアメリカ全体のお祭りムードが吹っ飛び一気にグランジブームとなりヘヴィメタルは衰えていった・・・と一般的に言われているが、ここ日本では事情が異なりバブル崩壊後も音楽シーンの…

楽園の真下/萩原浩(文春文庫)

巨大カマキリが出るパニックホラー、ただそれだけで興味をそそられて読んでみたもののカマキラスが出てくるゴジラ映画みたいなおおらかな作品ではなかったよ。まず巨大カマキリが出てくるまでが長い。それとまあタイトルと落ちに深く関係しているのだけど主…

映画 トップガンマーベリック

ーーーー ネタバレ有りです。ご注意ください ーーーー 始まりからして親父キラー。その後の展開とはほとんど関係が無いアメリカ海軍によるFA18のPVですぐにデンジャーゾーンに突入。そこから架空の最新戦闘機によるマッハ10突破シーンまでは一気に面…

同志少女よ敵を撃て/逢坂冬馬(早川書房)

下記の様な感想を書きかけていたのだが、ロシアのウクライナ侵略によってソ連=ロシアへの印象も変わり心境がより複雑化したので感想はまた後日。 書きかけだった感想) ソ連軍に対するイメージが180度変わりました。第二次大戦においてソ連はドイツに侵…

ビートルズ/ゲットバック ルーフトップコンサート

IMAXで動く4人の綺麗な画像を見れるだけでも幸せなのにタイトにまとまった演奏を良い音で聴けて幸せMAXでした。夜8時50分からの上映でお客さんは半分ぐらい入ってたけど、多分、平成生まれはいません(笑)。 屋上での演奏だけかと思ったら最初に…

島のエアライン(上)/黒木亮(朝日文庫)

熊本県天草市の天草エアラインを巡る物語。故郷熊本の話なので読んでみたが、題材としては面白いとは思うものの読み物としてはあまりにも無駄が多く冗長で上巻の途中で飽きてしまった。それと作品中でも度々指摘されている無駄な公共事業を担当公務員が仕事…

トヨトミの逆襲/梶山三郎(小学館文庫) 

トヨタの内幕を描いたと言われ一時的に名古屋で発禁になったとの噂がある「トヨトミの野望」の続編。「トヨトミの野望」はノンフィクションかどうかは別として勧善懲悪様式美でストレートに面白かった。この逆襲編では前作で悪代官的役柄だった豊臣統一が主…

ゲットバックして欲しいわ

最初に断っておくがネット配信の「ゲットバック」を観ていないし、観る気も現時点ではさらさら無い。当初の劇場公開予定がコロナのために何回も延期になり、いつの間にかウェッブでの配信となった。これファンへの背信ですよ。今回の公開を喜んでいるSNS…

戦国鬼譚惨/伊東潤(講談社文庫)

武田家滅亡によって人生の切所を迎えた5人の武将たちを描く短編集。5篇の中で一番強烈なのは最初の「木曽谷の証人」。武田を真っ先に裏切ったとされる木曽義昌の慟哭が描かれます。織田軍侵攻を真っ先に受けるのに地理的に新府から遠く援軍もほとんど期待…

デイ・トリッパー/梶尾真治(徳間文庫)

言わずとしれたビートルズの名曲をタイトルとしている純愛タイムトラベルSF。死んだ人に会いたいという考えはおそらく万人が思うであろう実現不可能な願望だ。若くして夫を亡くした主人公はある日突然「デイトリッパー」という時間を遡れる機械を紹介され…

その先の道に消える/中村文則(朝日文庫)

警察物って割と苦手だ。いわゆる無頼系も何となくあわないのだが、主人公はいきなりデカでやる気があんまりないちょっとした無頼系。読み始めはこれ最後まで読めるかなと思ったぐらいだが、主人公が犯人の元カノの殺人をごまかすあたりから面白くなってくる…

ライトマイファイア/伊東潤(幻冬舎文庫)

1970年に赤軍派が起こした旅客機ハイジャック事件「よど号事件」を元にした作品。当時俺は小学生だったので、かすかな記憶しかないが、田舎の熊本でさえ学生運動やストライキが行われていたので騒がしかった世間の空気を何となく覚えている。 警察官”三…

レットイットビー/ザ・ビートルズ

映画「レットイットビー」は封印に近い状態にあったがこのたび、大量に残されたフィルムを再編集して新しい映画(結局ネット公開)が作られた。合わせてサントラであるアルバム「レットイットビー」もリミックス/リマスターされた。オリジナルの映画を観た…

花酔い/村上由佳(文春文庫)9月26日読了

秋の発情期(笑)なのか急に官能小説が読みたくなって検索してみた。この作品は俺にとって初の官能小説。 いわゆるAVみたいな取って付けたようなストーリーに最初から最後まで激しいセックス描写みたいなものを予想していたが、予想外に味わい深い実にいい…

亡国の鉤十字(上・下)/エリック・ジェコメティ&ジャック・ラベンヌ(竹書房文庫)

シリーズ最終巻。これまでも世界の陰謀論主役級が揃っていたが上巻ではさらにロマノフ王朝とスターリン、ナチスにはローゼンベルグに、諜報機関アプヴェーアも登場。加えてナチス側のスパイとして恐っそろしく残忍な二人組が登場(これは架空の人物)。その…

修羅の都/伊東潤(文春文庫)

源頼朝は良い国作ろう鎌倉幕府を開いた日本史史上、五本の指に入るであろう最重要人物でありながらなんとなく影が薄い。戦闘系のエピソードが極少なく、折角開いた幕府も直ぐに家臣である北条氏に乗っ取られ直系が3代で途絶えたからだろう。しかしこの作品…

激流/大佛次郎(朝日文庫)

大河ドラマ「青天を衝け」主人公の渋沢栄一を描いた小説と言えば城山三郎「雄気堂々」が有名だが、こちらは戦前の大作家、大佛次郎が若き日の渋沢に焦点を当てて描いた作品。大佛本人が学生時代の大正初期には渋沢は存命で、いわゆる名士として知られていた…

峠越え/伊東潤

家康の生涯で最大の危機だった伊賀越、他の様々な難所回想しながら描いていく。 つい先日読んだ安部龍太郎氏の「家康」での家康とはほとんど真逆な設定だったので、かなり頭が混乱した。 「家康」での家康は性格が前向きで信長との関係は非常に良好。後継者…

西郷の首/伊藤潤(角川文庫)4月10日読了

この小説を読むまで気づいていなかったが、江戸時代の加賀前田家百万石は外様大名では最大だったのだな。幕末から明治維新にかけて大きな存在感を発揮してもおかしくなかったのだが人材を全く排出出来なかった。そんな幕末マイナー藩となった加賀前田藩の下…

「砂漠の狐」ロンメル/角川新書

アーマーモデリング4月号北アフリカ特集号で触れられていたので読んでみた。この本の冒頭でも言われている様に元ミリタリー少年のロンメルに対するイメージと知識は昭和の時代で確実に止まっている。教科書からいい国作ろう鎌倉幕府が消えるぐらいのご時世…

黒南風の海/伊藤潤(PHP文芸文庫)

俺は一体今まで加藤清正の何を読んできたのであろうと思わせた素晴らしい一品。加藤清正といえば豪放磊落で一本気なでありながらも人情味に溢れる武将というイメージだった。それはこの作品でも変わらないのだが、そこにどの様な苦悩があるかまでは今まで思…

信長燃ゆ(上・下)/安部龍太郎

上巻から下巻の半分ぐらいまではめちゃくちゃ面白い。 本能寺の変が複合的理由というのは、この作品で広く一般的に知られるようになった。全国三千万人の戦国小説界(笑)にとっては非常に重要な作品だと言える。意外なことに明智光秀は出番が少なく黒幕の近…

家康 五・六巻/安部龍太郎

継続発刊中の大河小説。 家康にとっては”桶狭間””関ヶ原”と並ぶ人生三大事件「本能寺の変」前後が描かれる。五巻は事変の謎解きミステリーの様で少し家康の存在が薄い。大河ドラマ「麒麟がくる」でも取りれられていたが、事変の原因は従来の光秀個人の怨恨説…

草にすわる/白石一文

作者の初期作品集。表題作「草にすわる」が書かれたのは2003年。極初期の作品だが作者の魅力がことごとく備わっている見事な佳作。すなわち運命の人に出会ってちょいとエロい展開になってドロドロなんだが最後はなぜかさわやかさが伴うハッピーエンド。…

吹けよ風呼べよ嵐/伊藤潤

タイトルはピンクフロイドの有名曲邦題。遙か彼方から聞こえるベース音から静かに始まり徐々に盛り上がっていき凄まじいスライドギターの音で終わる名曲だ。プロレスラー アブドラザブッチャーのテーマ曲に使われてもいたので知っている人は多い。この曲の如…

敗者列伝/伊東潤

古代から明治まで日本史における敗者とされる人物について書かれた短編集。 「はじめに」に書かれている歴史から学ぶ事は多い。 それぞれの敗因があるが、一番多いのは慢心。 清盛、義元、信長は典型。次に他力本願。 義経、直義、三成あたりか。 そして唯我…

国を蹴った男/伊東潤

戦国時代にどちらかと言えば敗者とされる6人を巡る短編集。表題の作品はダメ大名の典型のように言われる今川氏真。お公家趣味の蹴鞠イメージは強かったが、天才的にお上手だったらしい。周りから見れば落ちぶれていく様、秀吉のお伽衆として生きていく様は…

囚われの山/伊東潤(11月7日読了)

レイナードスキナードの”フリーバード”やメタリカ”ワン”は後半いきなりグォーーーと盛り上がって終わる。この作品はそんな曲と同じで前半はジワジワと読ませて最後半部分が一気に盛り上がる。後半部一晩一気読みしてしまった。 物語は主人公である歴史雑誌の…