METAL RYCHE m-2316

METAL RYCHE鋼鉄帝国として20年ほど前から やっていたホームページから転進しました。 「鋼の旋律」は主に音楽関係について。 ジャンルは軽音楽なので気楽に読んでくれ。 「鋼鉄の言霊」は社会一般に対する我が闘争。 我が妄想に近いが、我が早漏よりもましであろう。まあ、これも気楽に読んでくれ。 「銀河のスクラップ」は本や映画の感想など人生のスパイスだな。たまに塩味がきついが気軽に読んでくれたまえ諸君。

草にすわる/白石一文

作者の初期作品集。
表題作「草にすわる」が書かれたのは2003年。極初期の作品だが作者の魅力がことごとく備わっている見事な佳作。すなわち運命の人に出会ってちょいとエロい展開になってドロドロなんだが最後はなぜかさわやかさが伴うハッピーエンド。次の「花束」も作者の得意ジャンルとも言うべきビジネス物に近く、雑誌業界を舞台としている。脇役がちょいとクセがあり最初馴染めないが、これも最後は大ハッピーエンド。「大切な人へ」も同じく魅力的な佳作。こちらはちょいと頭の良いぼっちゃまと生い立ちが不幸なヤンキー娘の恋物語。「7月の真っ青な空に」も似たような傾向の作品だがあまり出来は良くないように思う。「砂の城」だけは異質な作品で、ある作家の鬱々とした感情がうねうねと綴られている感じで作者自身が精神を病んだ経験があるのでそういう暗い心理描写が切実に迫る。(1月20日読了)