上巻から下巻の半分ぐらいまではめちゃくちゃ面白い。
本能寺の変が複合的理由というのは、この作品で広く一般的に知られるようになった。全国三千万人の戦国小説界(笑)にとっては非常に重要な作品だと言える。意外なことに明智光秀は出番が少なく黒幕の近衛前久が信長とともに詳細に描かれる。信長は天皇よりも高い地位に就こうとしたので誅されたわけだが、ではなぜそんなことを考えたのか。信長はキリシタン信仰を利用しアジア・日本侵略を進めようとするスペイン、ポルトガルなどのヨーロッパ勢に対抗するために旧来の制度を廃して日本を統一するために強引に推し進めた、という信長革命説である。近衛前久はそんな信長に天皇家とその周りの貴族たちの存続が図れる間は蜜月の時代を過ごす。しかしその存続を許さないとなったときに誅殺を決意する。ここまでは一気読みしたいぐらい面白いのだが、光秀が出てきて過去の資料からの引用が多くなる部分から読み物としてはガクンとスピード感が落ちる。確かに信長革命説を説明するためには必要だったのかもしれないが、ちょっと面白くなかった。そして終わり方も読者の想像にお任せしますになっており消化不良気味。まあこのあたりは麒麟が来るで脳内補完するとしよう。
そして信長のエッチシーンはなかなかのものであった。