METAL RYCHE m-2316

METAL RYCHE鋼鉄帝国として20年ほど前から やっていたホームページから転進しました。 「鋼の旋律」は主に音楽関係について。 ジャンルは軽音楽なので気楽に読んでくれ。 「鋼鉄の言霊」は社会一般に対する我が闘争。 我が妄想に近いが、我が早漏よりもましであろう。まあ、これも気楽に読んでくれ。 「銀河のスクラップ」は本や映画の感想など人生のスパイスだな。たまに塩味がきついが気軽に読んでくれたまえ諸君。

「砂漠の狐」ロンメル/角川新書

 アーマーモデリング4月号北アフリカ特集号で触れられていたので読んでみた。この本の冒頭でも言われている様に元ミリタリー少年のロンメルに対するイメージと知識は昭和の時代で確実に止まっている。教科書からいい国作ろう鎌倉幕府が消えるぐらいのご時世である(いやいやとうの昔だぞ)、いまやロンメルも昭和とは全く違った事実が明らかになっていた。
 無茶を承知で一か八かの勝負をかけて、運が良いうちは上手くいっていたが、一つの大失敗をきっかけにとことん落ちていった流れは山本五十六(あるいは日本軍そのもの)と全く同じで、この辺りが日本人がロンメルにシンパシーを感じていたところなのだが、ロンメルの場合は山本五十六と違って軍歴から来るコンプレックスが無茶な作戦行動を行う原点となっていた。(山本にも少しこの気はある)これは従来のイメージを根底から覆すような事実だった。名前に”フォン”が付く軍人貴族出身でもなく第一次大戦終戦後なんとか軍隊に残れたようなロンメルは戦果を上げることでしか昇進どころか生き残ることすら難しかったのだ。そしてその病的な功名心から来る快進撃の裏で多大な犠牲を出していたことは、わかっていたのに当時のナチスの宣伝効果(ゲッペルスにとって最高の宣伝材料だった)もあって隠されていた。ヒトラーは彼を高評価していたことはよく知られていたが(警備隊長やっていた写真は昔から有名でしたからね)、ヒトラー以外の歴代の上司からはことごとく低評価で戦術家としては一流だが戦略家では無いと断言されている。
ただし戦場において残虐行為を行わずそのフェアネスだけは色あせていないという最後の言葉が救いである。
アフリカ戦線、Ⅱ号戦車が作りたいぞ。