METAL RYCHE m-2316

METAL RYCHE鋼鉄帝国として20年ほど前から やっていたホームページから転進しました。 「鋼の旋律」は主に音楽関係について。 ジャンルは軽音楽なので気楽に読んでくれ。 「鋼鉄の言霊」は社会一般に対する我が闘争。 我が妄想に近いが、我が早漏よりもましであろう。まあ、これも気楽に読んでくれ。 「銀河のスクラップ」は本や映画の感想など人生のスパイスだな。たまに塩味がきついが気軽に読んでくれたまえ諸君。

亡国の鉤十字(上・下)/エリック・ジェコメティ&ジャック・ラベンヌ(竹書房文庫)


シリーズ最終巻。これまでも世界の陰謀論主役級が揃っていたが上巻ではさらにロマノフ王朝スターリンナチスにはローゼンベルグに、諜報機関アプヴェーアも登場。加えてナチス側のスパイとして恐っそろしく残忍な二人組が登場(これは架空の人物)。そのため場面は目まぐるしく入れ替わる。特に下巻では細かな場面転換が頻繁でスリリングなのだが、よーく読んでないとわからなくなる。

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 前作で銃弾を喰らったエリカは一命を取り留めたもののその瞬間の記憶だけを失っていた。トリスタンはそのまま親衛隊にいるもののエリカが記憶を失っているのか黙っているのかわからないので疑心暗鬼になっている。今回探し回ることになるレリックは長らくロマノフ王朝が有してきたがロシア革命の最中に流出し行方がわからなくなっている。このレリック捜索の最中に、このレリックとは何なのか、なぜこれが時の権力者達の手に渡ったのかをマローリーはゆっくりと語り始める。第一次大戦西部戦線でマローリーは戦闘中偶然「レアボリスの書」を発見する。ところがその場でドイツ軍に襲われてしまう。そのドイツ軍の指揮官が若き日のヒトラー伍長だったのだ!もーここは映画だったら口あんぐりのシーンですわ。しかしよく考えたな。ここで全てが綺麗にはまったところで物語は佳境を迎えていく。またしてもトリスタンの大活躍でレリックは見つかりイギリスの物になってめでたしめでたしってところでナチス側が奪取に成功する。えっ~~~、ナチスに行くの。しかもまだ下巻の半分だぞ。下巻ラストで奪い合いが大団円を迎えると思っていた俺はその意外さにまず驚いた。そうここから更にもう一盛り上がりするのである。トリスタンはナチス側のスパイとなっているが元々はフランス人でイギリスの二重スパイである。自分の意思で国のためにスパイをやっていると言うより運命に流されて仕方なくやってる感が強い彼がついに目覚めるのだ。俺は世界のためにヒムラーを殺す。(トリスタンは絶対ドナルド・サザーランドだよね)
そう心に誓った彼は愛に目覚めたエリカをも振り切ってヒムラーに拳銃を突きつけようとする。するとその時に・・・。物語は一応終わるのだが設定としてはまだ1943年である。陰謀論の主役達は誰も死んでいないし、少々ネタバレになるがトリスタンもエリカもロールも生きている。ヴァイストルトはずっと寝たきりだぞ(笑)。
彼らが戦争を生き残ったかわからないままだ。
 そう!つまり続編も可能だ。作者には続編には大日本帝国を登場させることを是非お願いする。戦局大逆転をかけて満州帝国甘粕大尉からの指示を受けソ満国境でトリスタンを拉致したのは・・加藤保憲・・帝都大戦かよ(笑)。