言わずとしれたビートルズの名曲をタイトルとしている純愛タイムトラベルSF。死んだ人に会いたいという考えはおそらく万人が思うであろう実現不可能な願望だ。若くして夫を亡くした主人公はある日突然「デイトリッパー」という時間を遡れる機械を紹介される。あまりのことに当然迷うのだがとうとうその機械に乗ってしまう。そして見事に無くなった夫と再開し最高の幸せな時間を過ごす。ところがその幸せな時間を過ごすうちに当然ながら夫が死なない様に出来ないものかと考え始める。こういう時間旅行系SFで常に問題になるのは過去を変えてしまった場合、未来はどうなるのかということで、この作品では「デイ・トリッパー」責任者が、あらかじめ過去を変えてはいけないと釘を指している。しかし主人公が夫が死ぬことを知っている時点でもうすでに同じでは無いわけで、いろいろな問題が起こり始める。だが作者は多層的に時間は成り立っており多少変わっても大きな流れは変わらないようになっているという事にしている。
作者のタイムトラベル物はいつもツボにはまり、俺の心は感動の嵐に襲われるのだが、今作はちょっとそこまでの感動がなかったな。