METAL RYCHE m-2316

METAL RYCHE鋼鉄帝国として20年ほど前から やっていたホームページから転進しました。 「鋼の旋律」は主に音楽関係について。 ジャンルは軽音楽なので気楽に読んでくれ。 「鋼鉄の言霊」は社会一般に対する我が闘争。 我が妄想に近いが、我が早漏よりもましであろう。まあ、これも気楽に読んでくれ。 「銀河のスクラップ」は本や映画の感想など人生のスパイスだな。たまに塩味がきついが気軽に読んでくれたまえ諸君。

80年代ヘヴィメタル/ハードロック /増田勇一・奥野高久(シンコーミュージック)

 一般的に黄金期と言われる80年代ヘヴィメタルを各年毎に区切って対談形式で振り返っている。80年代直前78,79年あたりも前置き的に書かれているがこの時期を書いた本は少なく、個人的に洋楽に目覚めた時期なのでかなり共感できて面白い。

 ヘヴィメタルがジャンルとして確立したのは80年だが、確立させたのはジューダス・プリーストだ。その後もこのバンドの影響は度々書かれている。あのバンドの様に徹頭徹尾、音楽もビジュアルもメタルだったバンドは他にいなかった。同時代のオジーにしろスコーピオンズにしろアイアン・メイデンですら70年代を引きずっていた。(メイデンがNWOBHのきっかけであるが、その後の彼らの音楽からも明らかなよう基本は70年代HR回顧でありポール・ディアノのヴォーカルだけが70年代を引きずっていない)85年頃メタルの固定概念化完了。しかしこの一般受けなど考えられない特殊な音楽と奇抜なビジュアルがビジネス的に大成功してしまうのが世の中不思議なところ。ビッグビジネスになるとわかると多くの才能、悪党、そしてファンがなだれ込んできて80年代後半の黄金期を迎えていく。どんなジャンルにも共通するが全盛期と言われる頃には、とんでもない才能が次々と出てきて凄い作品や技、記録を作っていく。それはやはりビジネスとしてより大きく成り立つからだ。一般受けの要素を極力配したスラッシュメタルさえ売れた。日本においてこのジャンルを牽引したB!誌の内幕が少し書かれているのも興味深い。久しぶりに酒井康氏の名前を読んだよ。いろいろ言われてるけど我々読者にとってはおもしろい文章を書く人だったし、楽しませてもらった恩人だと俺は思っている。

 2022年8月1日読了