映画化原作。舞台は昭和の香りがまだ残る平成初期にかけての長崎市郊外の田舎町。。昭和生まれの俺なんぞはあー昔はこういうのいたわ、とかあったなーこれ、と郷愁に誘われて仕方がなかった。読書欲が激落ちの暑い夏に読むにはピッタリだった小学生が主人公の3篇の短編集。
みんな貧乏だった時代だが、親の職業は現代よりバラエティに富んでいたように思う。農業結構いたし、工場勤務も大企業じゃなくて町工場。地道で小さな自営業多かった。魚屋、豆腐屋、和菓子屋さんとか本屋さんも多かった。逆に証券会社なんて怪しいって近寄るななんて言われてたよ(笑)。そんな親の職業の違いって子供の関係に微妙に影響していたんだよね。いろんな奴がいたけど凄い貧乏だけど意地張って面白かった奴とか、逆にいじめっ子とかね。
金持ちなんてそんなにいなかったけど、金持ちだから威張ってるとか、そんなことも逆になかったんだよ。この作品はそんな時代の空気感をよく捕らえている。3編ともハッピーエンドなのが良い。
映画は”SABAKAN”を中心にエピソードを追加している。それなりに面白かったが、大人になった主人公の回想というありふれた構成と途中に入るハングルエピソードがどうもひっかかった。