METAL RYCHE m-2316

METAL RYCHE鋼鉄帝国として20年ほど前から やっていたホームページから転進しました。 「鋼の旋律」は主に音楽関係について。 ジャンルは軽音楽なので気楽に読んでくれ。 「鋼鉄の言霊」は社会一般に対する我が闘争。 我が妄想に近いが、我が早漏よりもましであろう。まあ、これも気楽に読んでくれ。 「銀河のスクラップ」は本や映画の感想など人生のスパイスだな。たまに塩味がきついが気軽に読んでくれたまえ諸君。

琉球警察/伊東潤(ハルキ文庫)

 

沖縄が日本に返還された時、俺は小学5年生だった。学校で先生が話したのも覚えていて直後に開催された沖縄海洋博に友達が行ったりしてかなりなお祝いムードであった。俺には明るい印象しかない沖縄返還だがそこに至るまでの占領期に関しては全く知識が無い。これ以前に読んだ「オフリミッツ横浜外事警察では米軍占領期の横浜が描かれていてあれに描かれていた進駐軍も十二分に非道であったが、沖縄の占領軍はそれの比ではない。占領しているということはそこに主権はなく住民は奴隷同然であった。しかもそこに沖縄を含めた占領諸島内でのヒエラルキーができてしまう。占領諸島の中で経済的に上位なのは米軍がいる沖縄本島奄美諸島は戦闘での被害はほとんどなかったのに経済的には行き詰っており、徳之島出身の主人公は沖縄に出稼ぎに行かざるを得ない状況だったのだ。しかもなぜか沖縄の人間は徳之島の人間下に見る。彼はこれに耐えながら復興の使命感に燃えて警官になるもののやらされたのは左翼活動対する公安活動だった。これは実在の人物で沖縄返還に非常に功績があった瀬長亀次郎氏を監視する担当となる。この監視役に若いスパイを育てるのだが、これが、なかなかケツの穴がヒリヒリするスリル(笑)があって最後は切ない。結果、最後は米軍がクソで終わるわけは伊東作品にあるわけはなく怒涛のラストが待ち構えている。とにかく米軍はクソなのは間違いないが、この崇高さ純粋さを思わせる沖縄返還平和運動の精神が今や微塵も感じられない沖縄や如何に。

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