あの後味が最高に悪い映画「ミスト」の原作を含む短編集。
映画ITの大ヒットにより再発されたのを機会に購入。
スティーブン・キングの小説を読むのは初めて。
基本的に翻訳物はどうも苦手なので。
この短編集はまずそういう日本語的な読みづらさが無かったのはまず良い所。
表題作の[霧」は映画の映像が頭に残っているのでかなりサクサクと気持ち悪さを感じながら読めた。
映画には無いアマンドとのセックスシーンや映画よりもジワジワくるミセスカーモディの気色悪さ、そして映画とは異なる余韻が残るラスト。
「霧」という文学的な何かを感じさせる邦題も含めてホラー短編小説の傑作と言えよう。
そしてこの「霧」以上に強烈な印象を残すのが「ジョウント」。
ラスト2ページに集約された恐怖は最上級。
そこまでの進行が宇宙船みたいな静かな空間を想像させる描写で淡々と進むだけにこの2ページの狂乱ぶりは凄まじい。
さらにもう一つ「ほら、虎がいる」も結構強烈な印象を残す。
キング入門編としては最適と言われているこの短編集だが、その一発目がこれというのも中々ヒザカックン的強烈さ。