METAL RYCHE m-2316

METAL RYCHE鋼鉄帝国として20年ほど前から やっていたホームページから転進しました。 「鋼の旋律」は主に音楽関係について。 ジャンルは軽音楽なので気楽に読んでくれ。 「鋼鉄の言霊」は社会一般に対する我が闘争。 我が妄想に近いが、我が早漏よりもましであろう。まあ、これも気楽に読んでくれ。 「銀河のスクラップ」は本や映画の感想など人生のスパイスだな。たまに塩味がきついが気軽に読んでくれたまえ諸君。

犬神家の一族/横溝正史(角川文庫)

八つ墓村に続けて読んでみた横溝正史の代表作。

これも映画が大ヒットしたがまともに見たことは無い。

基本設定は八つ墓村よりもわかりやすい遺産相続を巡る連続殺人事件である。だが、この物語のキモは犬神佐兵衛翁の遺言。これに二重三重の仕掛けがあり珠世という女性に遺産が行くように仕掛けられている。珠世は佐兵衛が富豪になる前にお世話になっていた神主の親族で血縁関係はない。佐兵衛には正妻がいなくて愛人に産ませた娘が三人いてそれぞれに息子もいるのだが、この人たちにとってはこの遺言は非常に面白くない。全員が珠世および他の息子を殺す動機がありえるという設定になっている。

そんな中殺人事件が次々と起こっていくわけだが、その殺され方が犬神家に伝わる家宝「斧・琴・菊」を暗示しており、その謎を知っているものはごく限られこれで益々犯人は身内に絞られていくはずなのだが三人にの息子が順に殺されるわけで絞られるどころか誰が犯人か、わからなくなっていく。

結構ハラハラしたのは珠世が襲われるところ。金田一が絶世美女描写を何度もつぶやく(笑)のでついつい入れ込んでしまって珠世さん、逃げて!みたいに

なってしまった。

そしてジワジワと明らかになっていく佐兵衛の隠された過去。

例によって金田一によって明かされる真犯人とその謎解きは結構無理筋を思わせるところがあるが、いまだ江戸時代の因習を引きずる信州の田舎で戦後の混乱期ならばさもありなんと思わせるところが発表当時はあったであろう。

それを見事にエンタメにしたてているところはさすがである。