前作の好評を受けて続編のクラウドファウンディングを行ったところ1.5億円も集まって作られたのが本作。今度は地下からナチが攻めてくると聞いて、地球空洞説に基づいて地下で体制を立て直したナチが攻めてくるという、そんな単純なストーリーを予想したが、想像を遙かに超えすぎたとんでもストーリーであった。
前作ラストの核戦争により地球は核の冬でほとんど人は住んでおらず人類はナチス月面基地で細々と生き残っているという設定から物語は始まる。月面基地もエネルギーが枯渇し滅亡の危機を迎えている。そんな月面基地に前作で死んだはずのコーツフライシュ月面総統がこっそり帰ってくる。この月面総統と主人公オビとそのお友達が地球に行かなければならなくなるストーリーは、かーなーり強引。
地球に行ったオビ達一行が潜入するのは地球内部。そこは人間とは全く違う生命体が支配する世界だった。彼らは人類創世時から歴史を影から操り、人類史上大虐殺を行ってきた人物達は実はこの生命体が正体だったというショッカー大幹部のような設定。スターリン、毛沢東、アミンなどと並んで金正日の姿も見え何故かサッチャーもかなりの大悪人設定。そんな中にザッカーバーグとスティーブジョブズの姿もあり生き残った人類達の中にはスティーブを神とあがめる人達もいるというパロディは強烈だ。ノキアの携帯が重要アイテムになるなどこの辺にはフィンランド人の怨念を感じる。
さて物語は、オビが空洞内地球のエネルギー源となっている聖杯を奪うことに成功するが、その裏で実はヒトラーとコーツフライシュは兄弟で兄ヒトラーが弟を殺そうとしてそれ故に逆に弟は生き残るために地下世界崩壊を画策したということも明らかになる。この辺のストーリーにもかなりかなーーり無理がある。そういう無理があるストーリーと肝心の人類がほとんど滅んでいるという設定のため現代社会への皮肉が今一つ辛く感じない。ザッカーバーグやスティーブジョブズへの皮肉もわかるが、現実的にはそういうカリスマ云々の問題では無くなって来ているので、ここはバカに徹した方が良かったのではないか。十分面白かったがクラウドファウンディングというスポンサーの期待に応えようとしてバカ映画に社会批判のエッセンスを詰め込もうとして、やり過ぎた感じがする。しかし最後の最後に画面一杯に広がる赤い帝国のオチは秀逸だった。
冒頭のプーチンダンスからつながっていたのだ! ハラショー!