個室に戻ったが痛みは全く無い。
「血の涙が出るのは気にしないでね」と言われた。部屋はおそらくこの病院では一番良い個室。バストイレ付きでテレビもある。
もしかして俺は重症患者扱いだったのだろうか(笑)。
オペの後は一晩うつ伏せをしなければならない。眼球にガスが挿入されているためだ。視野は丁度サングラスをかけたようになっていて視野の上の方が1割ほど普通に見えている状態だった。真下を向くと視野の端が丸く透けて見える。つまり眼球の視神経部分にガスが影を作るからこうなる。普通にしているとガスは上に行き視野の上が透けて見えるのは視神経が上下逆さまに感知していると言うことがよくわかる。視界は変だが手術を終わったという安心感とお疲れで2時間ほど寝た。早めの晩飯はペロリと食べてしまった。テレビはニュースとカープナイターを少しだけ見て、用意してきた音楽を聴くことにした。うつ伏せ用の台に頭と手を載せる。やはり2時間も経つときつくなってきた。ベットでうつ伏せになるが、こっちの方がキツかった。座ってうつ伏せになったり寝てうつ伏せになったりを繰り返して結果、夜中の2時ぐらいまでウトウトしたりしていたのは覚えている。
そしてハッと目が覚めたらなんと仰向けに寝ているではないか!あわててうつ伏せになり時計を見ると6時過ぎ。もしかすると3時間ぐらい仰向けで寝てしまったか。一応視界は変わらず変な自覚症状も無い。
鏡で自分の顔を見ると眼帯の端が茶色くなっている。おお俺はついに極限精神表現である血の涙を流したのだ(笑)。って笑ってる場合でもなかったのだが。
朝の診察で仰向けになったことをドクターへ言うと、「あー気にせんでください」と言われホッと一安心。めでたく無事退院となった。