目の調子が悪くてなかなか書けなかった読書感想だが、
復活第一弾はあの四次元のしゃべり古舘伊知郎さんの本から
古舘氏は新日本プロレスのアナウンサーとして有名になったアントニオ猪木とは縁もゆかりもありすぎる人で猪木の死す!衝撃が書かせた自伝本。
俺は古館が新日のテレビ中継に出てきた頃、中坊で最初は変なしゃべりだなと思ってちょっと昔の方がいいんじゃないのなんてガキのクセに思っていた。それが面白いじゃんに変わっていったのは”歩く人間山脈”あたりからか。一番すげーなと思ったのはF1の”顔面ジョージハリスン”。どこからその奇想天外な言葉が出て来るのか昔から興味があった。
古館氏は小さい頃、無口で吃音まであったという。それが高校でプロレスごっこのアナウンスをやったときに”喋り”に目覚める。まあこれは高校学祭でめちゃ内気な奴がギターで目覚めて気づいたらインディーデビューみたいなもんですな。古館さんの場合はその後の出会いが凄い。まず俺もこの人には共通した物があると思っていたみのもんたさんとの出会い。古館氏はこの方がDJをやっていたラジオ番組「セイヤング」を聴いてアナウンサーになりたいと思ったそうで半ば強制的に押しかけて付き人みたいになっていた時期がある。そしてなんと先輩アナから紹介されたバナナ売りからの影響。たしかにあの調子よくポンポンと言葉が出て来る感じはよく似ている。だがどんなにしゃべれても相当な教養がなければあの言葉は出てこない。それは無口な高校までに聴いていたラジオと現在に至るまでたゆまぬ勉強の賜物の様だ。その頭に入っている言葉がパッと出てきて機関銃の様な喋りと結びつくのは正に4次元だわ。
最後は心の師、アントニオ猪木との別れと友人星山との死別が書かれる。俺も一時期は相当な猪木信者だったが社会人になってビジネス的な観点から人を見るようになると次第にさめていった。だが歳を取ってから猪木が我々に与えてくれた勇気や夢や希望に気づいた。猪木が与えてくれた夢や希望は甘い物じゃない。なんかこうもっと泥臭い、いろんなものが混じってるんだな。そんな猪木が一番大事に思っていたのは「風車の理論」だった。
最後に本書から引用しよう「人間は人であれ、環境であれ、取り巻くものによって織りなされる存在なのだ」
古館氏もまた風車の理論で回っている一人なのだ。
ニュースステーション時代は左回りだったが(蛇足)