かの有名なドイツ空軍の撃墜王の一代記。
作者がパイロットらしく、かなり詳しい内容で面白い。
しかし時系列が飛ぶ事と作者自身の飛行経験などへ話題がそれるのが頻繁でちょっと読みづらく感じた。
東部戦線のドイツ空軍記と考えれば許容範囲ではあるが、もう少し整理された方がよかった。
肝心のノボトニーさんはどうかというと中盤までは目立たない存在。
それが目立ち出すのは戦局が絶望的になり始め、それまでのスターパイロットが戦死または事実上の引退をし始めてからだ。
この辺りからは作者も主人公に的が絞れており一気に読みやすくなる。
彼が他のエースに比べて際だった点はチームとして戦果を上げた点だろう。
世界初のジェット戦闘機隊指揮官に抜擢されたのもチームをまとめ上げる力が有ったからであろう事は十分に察せられる。
世界初のジェット戦闘機であるME262は素晴らしい飛行特性を持っていたらしくさすがと思わせるが、それでもジェットエンジンの初期トラブルおよび扱い方の間違いによる墜落は後を絶たなかったらしい。
ただでさえ困難な末期ドイツ空軍においてこれは優秀な指揮官で無ければ部隊をまとめることは困難であろう。
必死に奮闘するノボトニー戦闘隊だがドイツ空軍機の航続距離の短さは致命的だったことがこの時期わかる。
その短さから戦線近くに置かざるを得ないドイツ空軍基地は離陸、着陸時に襲われてしまう。
もっと長ければもっと奥に空軍基地を置くことが出来たわけで、大戦終盤においてもこの問題を解決出来なかったドイツは技術の使いどころを間違っていたのかもしれない。