このバンドの魅力は雇われと揶揄されようがジェームス・ラブリエの哀愁を帯びた歌メロにある。
その一方で複雑な構成とテクニカルな演奏が無くして何がドリームシアターなのだ。
このバランスが肝心なのだ。
絶品の歌メロが普通なら乗れないはずの変拍子なのに爽快感があるドラミングを主体とするインストに乗っかっている。
これがドリームシアターの魅力でありセカンド以降、存分に楽しませてもらった。
それが楽しめなくなったのは「シーンズフロムアメモリー」から。
さっぱりわからないコンセプト(特にオチが)と、そのコンセプト故に制限されたような全体のメロディ不足がどうにもつまらなかった。
以降のアルバムはメロディ成分が不足していると感じるアルバムが続いた。
何の努力も無くテクニカルな演奏になってしまうバンドだから余計にメロディが必要だ。
でなければ凡百の後続バンドと同じではないか。
本作はまず短い。
久々の全編60分以内。
アルバムという単位で売れなくなった現状がこの様なアルバムを作らせたのかもしれないが全体の情報量が少なくなった分、当然わかりやすくなった。
メロディの良さという点では「イマジノスアンドワーズ」に遠く及ばず、飛び抜けた曲も無いが全体的な演奏の複雑さと歌メロの良さのバランス感は見事に復活している。またかなり有機的だったインストパートにバンドらしいグルーブが感じられるのも久しぶりだ。
マイク・マンジーニがようやく馴染んだということだろうか。
ギターソロも聴き所が多い。
久々の爽快な快作で一足早い春を味わっている気分になれると断言する。