昔の国割りで言うところの備中備後にあたる広島県東部から岡山県西部地域は日本の中でも災害が少ない地域だ。
阪神大震災以降、人知を超えるような大災害に逢っていない地区は
日本ではこの地区だけと言って良いぐらいだろう。
台風が来ても風雨ともに九州に比べはるかによわーい。
九州の活き活きピッチピチの台風に比べれば気が抜けた炭酸飲料みたいなもんだ。
地震も少ない。
戦後震度4以上はなく、それ以前の南海、東南海クラスはさすがに被害が記録されているが、それ以外の地震被害はほとんど記録が無い。
岡山県は自らを晴れの国と呼んでいるように雨が降らない。
そこに今回の大雨が来て未曾有の大災害となった。
被害に遭った当事者が、まさかこんな事になると思わなかった、完全に油断していたと言っている。
確かに他の大災害を見て共感も同情もしていただろう。
だがどこか他人事の様に思えたのではないだろうか。
かく言う俺も熊本地震に逢うまではそうだった。
阪神大震災の時は会社の上司が被害に遭い、3か月後に被災地に行って
無残な焼け跡を見たが、今考えるとやはり他人事と考えていた。
東日本大震災の時、1週間で体調を崩した。
あれは被害者に共感と言うよりも怖さだったと思う。
だが熊本地震で実家が被害に遭い、知人が巻き込まれ、自分が知っていた場所が見るも無惨な姿をさらすのを見た時、ようやく被害者に心から共感出来たと思うし、災害に対する備えが甘かったことを実感する。
備中備後の多くの人達が同じような気持ちを今、抱いているのではないだろうか。
また熊本地震の時、現地の対応の酷さは散々聞いた。それと同じ事を今回も広島や岡山で聞く。
熊本や東北から来たボランティアはそれをあーすれば良いとアドバイスし事務処理もてきぱきとこなす。
そう災害先輩登場だ。
先輩は後輩を育てていく。
確かにこの10年ほどで手際が良くなってきているのはよくわかる。
起こって欲しくはない災害だがいつか起こる備えを強化するという意味では災害先輩の存在は欠かせない。
もう一つ先輩が卒業していくように新たな災害が起こると古い災害は忘れられていく。
現地はいつまでも忘れないだろうが、全国的には意識が遠のいていく。
それを思い出させるためにも災害先輩の活動は必要だと思う。