METAL RYCHE m-2316

METAL RYCHE鋼鉄帝国として20年ほど前から やっていたホームページから転進しました。 「鋼の旋律」は主に音楽関係について。 ジャンルは軽音楽なので気楽に読んでくれ。 「鋼鉄の言霊」は社会一般に対する我が闘争。 我が妄想に近いが、我が早漏よりもましであろう。まあ、これも気楽に読んでくれ。 「銀河のスクラップ」は本や映画の感想など人生のスパイスだな。たまに塩味がきついが気軽に読んでくれたまえ諸君。

記憶の渚にて/白石一文

 主な登場人物が扉に書かれている事からも非常に複雑な物語である事が想像できたが、

集中力を持って人間関係に注意しながら読まないと訳がわからなくなってしまう。

因果応報と生まれ変わりという作者が繰り返し取り上げているテーマが

非常に精緻な構成で描かれ読み終わるとよくもまーこんな1000ピース以上のパズルみたいな小説を書けるもんだなと感心する。

多くの登場人物のそれぞれ物語はパズルを構成する非常に形が複雑で絵自体は非常にクリアなピースだ。

まず驚かされるのは主人公であるはずの古賀純一が3部構成の1部途中で殺されてしまうことだ。

謎が謎を呼ぶ展開になったところで、いきなり出てきた男にぶっ殺されてしまう。

ここから主人公が入れ替わって白崎東也になるのだが、推理小説とも違った謎探しの過程は作者得意のスピリチュアルな展開となり面白い。

それがきれいに組み上がっていくかの様な2部から3部前半の展開なのだが、ここで舞台がロンドンにすっ飛ぶところがまた凄い。

しかも死んだと思っていた人物が生きていて、そこに今までの主要登場人物が勢揃いという思いもよらぬ展開となりパズルががっちりと組み上がる。

この瞬間の快感は読書の醍醐味最高潮と言って良い。

この作者は実在の場所を妙に細かく描写してリアルに感じさせるという手法をよく使う。

東京の地下鉄出口の番号を具体的に「A1出口」とか書いたりするのだが、特に今回は非常によく知った街である福山市が登場。

福山ニューキャッスルホテルという実在の場所が出てきて個人的には非常にリアルさが増した。