METAL RYCHE m-2316

METAL RYCHE鋼鉄帝国として20年ほど前から やっていたホームページから転進しました。 「鋼の旋律」は主に音楽関係について。 ジャンルは軽音楽なので気楽に読んでくれ。 「鋼鉄の言霊」は社会一般に対する我が闘争。 我が妄想に近いが、我が早漏よりもましであろう。まあ、これも気楽に読んでくれ。 「銀河のスクラップ」は本や映画の感想など人生のスパイスだな。たまに塩味がきついが気軽に読んでくれたまえ諸君。

秋の官能小説特集2

 

ダブル・ファンタジー村山由佳(文春文庫)

官能小説検索ヒット率堂々第一位(笑)の名作。いきなり官能シーンからスタートする。人生こじらせ気味の人気女性脚本家が主人公。彼女が憧れの年上男性演出家と現代の文通、メールのやり取りを通してお近づきになっていく。このじれったいやり取りから襲いかかるSM展開はさすがの流れ。これが延々続くのかと思いきや放置プレーという展開で下巻へ。今度は大学時代の先輩と流れから合体するが、この先輩くん見かけによらず技巧派で、のめり込んでいくのだが先輩くんは妻子持ちなんで一緒にはなれない。ここでヘボな坊主が一匹現れてすぐに去っていくのはすごく笑える。結局行き着くのは若い男なんだが、終始嫌われ役の旦那さんは全男性への警鐘だよね。タイトルのダブル・ファンタジーは男女の思い=相手に望むファンタジーはなかなかうまく交わらないね、という人生訓も得ることが出来る傑作官能小説でした。

MILK石田衣良(文春文庫)

かなりフェティッシュな十編の短編集。どれも非常に印象に残るが表題の「MILK」は女性の匂いに関する話で特に印象に残る。高校生がの童貞喪失を描いた「水の香り」も甘酸っぱいのだが、どの作品も匂いとか音とか五感に響くものがあり、これぞ官能だと思う。どれも短編なのが惜しいぐらい。この秋に読んだ官能小説の中ではこの短編集が一番面白かった。

とける、とろける/唯川恵新潮文庫

表題からしてこれはもうドロドロの官能小説と思ったのだが、ちょっとがっかりな短編集。表題の作品はもうとろけてしまうような最高の男と出会うというはなしなんだか落ちはホラーに近い。そうラストで死んだり殺したりする話が多いんだよ。

官能シーンもあんまりグッと来ないしこれはおすすめしないね。

 

特に短い今年の秋に官能小説を6冊も読むとは、俺もよほど飽きが無いな。