文庫化された白石作品で唯一読んでいなかったのがこれ。
なぜ読まなかったのかというと会社の同僚に主人公の名前の”亜紀”がいるから。
どうしてもそいつの顔が浮かぶだろうなと思っていたがそいつとは真逆のキャラでまったく顔が浮かばなかった(笑)。
だがこの作品を読むのが最後になったのには少し運命的な物を感じる。
なぜならこの作品名言の塊。
たまに読んでいて名言の所にはドックイヤーするのだけれどこの作品は5カ所ぐらい折った。
主人公は偶然ながら俺と同い年。
描かれる時代背景はまさに俺が生きてきた時代そのもの。
しかし女である。
この主人公みたいな女は多いと思う。
今で言うところの意識高い系の元祖みたいな女達だが、時代はまだこういう女達を許容するような時代ではなかった。
受け入れるしか無い運命ってのが確かにあったよ。
女だけじゃ無く男もしかりだけどな。
この歳になって受け入れてきた物が多いからわかる。
物語的には結構、嫌な女だねと思わせる前半から福岡転勤で性格変わってハッピーエンドかと思わせておいてからの急展開が凄い。
沙織が亡くなる辺りは涙無しではよめんねー。
これが最後の方につながってきてしかも最後にはまたもや悲劇の展開が。
これは切ない、切な過ぎる。
白い馬はちょっとファンタジー過ぎるけれども、個人的には白石最高傑作としたい。