8月はどうしても旧日本軍物が読みたくなる。
旧軍物はいわゆるライターが取材して書かれたドキュメンタリーと体験者が書いた軍記物にわかれよう。
この軍記物は面白いか面白くないかわりとはっきり分かれる。
そりゃそうである文章を書くことについては素人なのだからしょうが無い。
特に昭和時代に書かれた作品は言葉遣いと言い回しも古くさく読みにくかったりする。さらに上官に気を遣ってたりとか、妙にぼかした言い回し、逆に個人攻撃やら、あまりの扱いに逆ギレ気味の反戦主張などが、書いてあると読み物としては面白くない。
多分な脚色があると言われていても「大空のサムライ」みたいな作品の方が読み物としては面白いのは当然。
さてこの作品はどちらかというと半々だったという感想。
前半から最初の戦闘であるタロキナ爆撃まではあまり面白くない。
個人的な感想が続き、戦闘全体を俯瞰するような書き方がほとんどないのでわかりにくい。
ところが台湾航空戦あたりから読み応えが出てくる。
緊張感あふれる戦闘場面の描写は面白い。
その描写はあっさりしているが戦争未体験の我々が思っている以上に緊張の戦闘場面なんて一瞬なのであろう。
戦果がわからないというのもリアルだ。
ここでドカーンと戦果がみたいな描写であれば物語的には盛り上がる。
だが逃げるのに必死みたいな描写になっている。
作者は当時の軍人がどういう気持ちで戦っていたのか伝えたかったと書かれているが、リアルに徹した描写である。