METAL RYCHE m-2316

METAL RYCHE鋼鉄帝国として20年ほど前から やっていたホームページから転進しました。 「鋼の旋律」は主に音楽関係について。 ジャンルは軽音楽なので気楽に読んでくれ。 「鋼鉄の言霊」は社会一般に対する我が闘争。 我が妄想に近いが、我が早漏よりもましであろう。まあ、これも気楽に読んでくれ。 「銀河のスクラップ」は本や映画の感想など人生のスパイスだな。たまに塩味がきついが気軽に読んでくれたまえ諸君。

一億円のさようなら/白石一文(10月17日読了)

 作者がエンターテイメントに徹したと言っているだけあって確かに面白かった。主人公達が50過ぎのいい歳こいた大人なので話自体は結構ドロドロしているがハッピーエンドなので読後感はあー面白かったというさわやか感がある。
 物語の始まりは主人公がインフルエンザにかかって会社を休むというありふれた日常がちょっとだけイレギュラーするという、これから驚きの秘密が出てくるように感じられないところが作者の罠。そこから突然48億円なのでこちらも面食らう。まあ普通に考えても、そんだけの大金があると解ればなんだかんだと問題が起こって当然だが、ここで問題を爆発させず、過去の出来事や家族の問題など言わば伏線的出来事を重ねてじらすところが何とも上手い。さらに1億円を手にしながら「普通に暮らしても20年も経たずに無くなるな」と妙に主人公が冷静になるところも逆にリアルだ。この作品、かなりページ数は多いのだが登場人物のキャラが立ちすぎていて逆に描写不足に感じるほど。確かにこれは今時の半沢みたいなドラマ化には向いているよなー。