METAL RYCHE m-2316

METAL RYCHE鋼鉄帝国として20年ほど前から やっていたホームページから転進しました。 「鋼の旋律」は主に音楽関係について。 ジャンルは軽音楽なので気楽に読んでくれ。 「鋼鉄の言霊」は社会一般に対する我が闘争。 我が妄想に近いが、我が早漏よりもましであろう。まあ、これも気楽に読んでくれ。 「銀河のスクラップ」は本や映画の感想など人生のスパイスだな。たまに塩味がきついが気軽に読んでくれたまえ諸君。

読書感想

トヨトミの逆襲/梶山三郎(小学館文庫) 

トヨタの内幕を描いたと言われ一時的に名古屋で発禁になったとの噂がある「トヨトミの野望」の続編。「トヨトミの野望」はノンフィクションかどうかは別として勧善懲悪様式美でストレートに面白かった。この逆襲編では前作で悪代官的役柄だった豊臣統一が主…

戦国鬼譚惨/伊東潤(講談社文庫)

武田家滅亡によって人生の切所を迎えた5人の武将たちを描く短編集。5篇の中で一番強烈なのは最初の「木曽谷の証人」。武田を真っ先に裏切ったとされる木曽義昌の慟哭が描かれます。織田軍侵攻を真っ先に受けるのに地理的に新府から遠く援軍もほとんど期待…

デイ・トリッパー/梶尾真治(徳間文庫)

言わずとしれたビートルズの名曲をタイトルとしている純愛タイムトラベルSF。死んだ人に会いたいという考えはおそらく万人が思うであろう実現不可能な願望だ。若くして夫を亡くした主人公はある日突然「デイトリッパー」という時間を遡れる機械を紹介され…

その先の道に消える/中村文則(朝日文庫)

警察物って割と苦手だ。いわゆる無頼系も何となくあわないのだが、主人公はいきなりデカでやる気があんまりないちょっとした無頼系。読み始めはこれ最後まで読めるかなと思ったぐらいだが、主人公が犯人の元カノの殺人をごまかすあたりから面白くなってくる…

ライトマイファイア/伊東潤(幻冬舎文庫)

1970年に赤軍派が起こした旅客機ハイジャック事件「よど号事件」を元にした作品。当時俺は小学生だったので、かすかな記憶しかないが、田舎の熊本でさえ学生運動やストライキが行われていたので騒がしかった世間の空気を何となく覚えている。 警察官”三…

官能小説 3冊まとめて感想

官能と少女/宮木あや子(早川書房)10月3日読了ゆびさきたどり/花房観音(新潮文庫)10月9日読了あやまちは夜にしか起こらないから/草凪優(新潮文庫) 10月16日読了 お勧め官能小説サイトからの3冊。まず「官能と少女」これは全然、俺と合わ…

花酔い/村上由佳(文春文庫)9月26日読了

秋の発情期(笑)なのか急に官能小説が読みたくなって検索してみた。この作品は俺にとって初の官能小説。 いわゆるAVみたいな取って付けたようなストーリーに最初から最後まで激しいセックス描写みたいなものを予想していたが、予想外に味わい深い実にいい…

亡国の鉤十字(上・下)/エリック・ジェコメティ&ジャック・ラベンヌ(竹書房文庫)

シリーズ最終巻。これまでも世界の陰謀論主役級が揃っていたが上巻ではさらにロマノフ王朝とスターリン、ナチスにはローゼンベルグに、諜報機関アプヴェーアも登場。加えてナチス側のスパイとして恐っそろしく残忍な二人組が登場(これは架空の人物)。その…

わが産声を聞きに/白石一文(講談社)

コロナ禍は世の中全てを変えてしまった。ちょっと昔のTVドラマでさえマスクをしていないことや遠慮無く騒いでいるシーンを見ると酷く違和感を感じたり、昔懐かしかったり、あの頃みたいに早く戻らないかなと感じたりする。この作品はこのコロナ禍の世の中…

修羅の都/伊東潤(文春文庫)

源頼朝は良い国作ろう鎌倉幕府を開いた日本史史上、五本の指に入るであろう最重要人物でありながらなんとなく影が薄い。戦闘系のエピソードが極少なく、折角開いた幕府も直ぐに家臣である北条氏に乗っ取られ直系が3代で途絶えたからだろう。しかしこの作品…

激流/大佛次郎(朝日文庫)

大河ドラマ「青天を衝け」主人公の渋沢栄一を描いた小説と言えば城山三郎「雄気堂々」が有名だが、こちらは戦前の大作家、大佛次郎が若き日の渋沢に焦点を当てて描いた作品。大佛本人が学生時代の大正初期には渋沢は存命で、いわゆる名士として知られていた…

峠越え/伊東潤

家康の生涯で最大の危機だった伊賀越、他の様々な難所回想しながら描いていく。 つい先日読んだ安部龍太郎氏の「家康」での家康とはほとんど真逆な設定だったので、かなり頭が混乱した。 「家康」での家康は性格が前向きで信長との関係は非常に良好。後継者…

ロブ・ハルフォード回想録/ロブ・ハルフォード

ロブがゲイであることはメタルファンなら周知の事実。とは言えここまで赤裸々にその行為を書かれると正直ドン引きである。その苦悩には同情しつつも、あまりにもえげつない行為が連続し中盤辺りからその辺の話は少々飛ばし読み気味になった事を正直に書いて…

宇喜多の楽土/木下昌輝(文春文庫)4月28日読了

宇喜多秀家の父、直家は戦国の梟雄として名を馳せているが、この作品では干拓事業に力を入れるなど理想のために汚い手も使った人物として描かれている。その父の夢を継ぎ楽土を目指す秀家だったが周りがそれを許さない。父から領土を引き継いだ時、宿敵毛利…

西郷の首/伊藤潤(角川文庫)4月10日読了

この小説を読むまで気づいていなかったが、江戸時代の加賀前田家百万石は外様大名では最大だったのだな。幕末から明治維新にかけて大きな存在感を発揮してもおかしくなかったのだが人材を全く排出出来なかった。そんな幕末マイナー藩となった加賀前田藩の下…

「砂漠の狐」ロンメル/角川新書

アーマーモデリング4月号北アフリカ特集号で触れられていたので読んでみた。この本の冒頭でも言われている様に元ミリタリー少年のロンメルに対するイメージと知識は昭和の時代で確実に止まっている。教科書からいい国作ろう鎌倉幕府が消えるぐらいのご時世…

黒南風の海/伊藤潤(PHP文芸文庫)

俺は一体今まで加藤清正の何を読んできたのであろうと思わせた素晴らしい一品。加藤清正といえば豪放磊落で一本気なでありながらも人情味に溢れる武将というイメージだった。それはこの作品でも変わらないのだが、そこにどの様な苦悩があるかまでは今まで思…

信長燃ゆ(上・下)/安部龍太郎

上巻から下巻の半分ぐらいまではめちゃくちゃ面白い。 本能寺の変が複合的理由というのは、この作品で広く一般的に知られるようになった。全国三千万人の戦国小説界(笑)にとっては非常に重要な作品だと言える。意外なことに明智光秀は出番が少なく黒幕の近…

家康 五・六巻/安部龍太郎

継続発刊中の大河小説。 家康にとっては”桶狭間””関ヶ原”と並ぶ人生三大事件「本能寺の変」前後が描かれる。五巻は事変の謎解きミステリーの様で少し家康の存在が薄い。大河ドラマ「麒麟がくる」でも取りれられていたが、事変の原因は従来の光秀個人の怨恨説…

草にすわる/白石一文

作者の初期作品集。表題作「草にすわる」が書かれたのは2003年。極初期の作品だが作者の魅力がことごとく備わっている見事な佳作。すなわち運命の人に出会ってちょいとエロい展開になってドロドロなんだが最後はなぜかさわやかさが伴うハッピーエンド。…

吹けよ風呼べよ嵐/伊藤潤

タイトルはピンクフロイドの有名曲邦題。遙か彼方から聞こえるベース音から静かに始まり徐々に盛り上がっていき凄まじいスライドギターの音で終わる名曲だ。プロレスラー アブドラザブッチャーのテーマ曲に使われてもいたので知っている人は多い。この曲の如…

敗者列伝/伊東潤

古代から明治まで日本史における敗者とされる人物について書かれた短編集。 「はじめに」に書かれている歴史から学ぶ事は多い。 それぞれの敗因があるが、一番多いのは慢心。 清盛、義元、信長は典型。次に他力本願。 義経、直義、三成あたりか。 そして唯我…

国を蹴った男/伊東潤

戦国時代にどちらかと言えば敗者とされる6人を巡る短編集。表題の作品はダメ大名の典型のように言われる今川氏真。お公家趣味の蹴鞠イメージは強かったが、天才的にお上手だったらしい。周りから見れば落ちぶれていく様、秀吉のお伽衆として生きていく様は…

囚われの山/伊東潤(11月7日読了)

レイナードスキナードの”フリーバード”やメタリカ”ワン”は後半いきなりグォーーーと盛り上がって終わる。この作品はそんな曲と同じで前半はジワジワと読ませて最後半部分が一気に盛り上がる。後半部一晩一気読みしてしまった。 物語は主人公である歴史雑誌の…

家康(一、二、三、四巻)/安部龍太郎(10月31日読了)

徳川家康といえばやはり山岡荘八の「徳川家康」全二六巻が有名かつ決定版として知られている。俺の親父の本棚にも新品のままの全二六巻が並んでいた。そんな名作も書き始められたのは1950年代。表現も古ければ昨今発見された歴史的な資料も反映されてい…

一億円のさようなら/白石一文(10月17日読了)

作者がエンターテイメントに徹したと言っているだけあって確かに面白かった。主人公達が50過ぎのいい歳こいた大人なので話自体は結構ドロドロしているがハッピーエンドなので読後感はあー面白かったというさわやか感がある。 物語の始まりは主人公がインフ…

もっこすの城/伊東潤(10月9日読了)

築城の際、現代の現場監督兼設計主任みたいな立場にあるのが城取。築城に関することは当時の最重要軍事機密だから全て秘伝とされていた。築城においては城主の影響力が大きいのはもちろんだが城取の影響力も非常に大きく、知識、技術はもちろん思想や人格ま…

AIとカラー化した写真でよみがえる 戦前・戦争(光文社新書) 9月1日読了

白黒写真とカラー写真でどちらがリアルに感じるかと言えば圧倒的にカラー写真。第二次大戦から75年経ち当時を知る人は非常に少なくなり、それを語れる人はさらに少なくなった。これではいけないと世界大戦を後世に伝えるために始めたのが、白黒写真をカラ…

アンマーとぼくら/有川ひろ(講談社文庫)8月22日読了

ん~一時期はまりまくって読んだ有川浩なのにさっぱり面白くない。こちらの感性が変わってしまったのか・・・。2/3ほど読んだところであきらめてオチを先に読んでしまった。俺にとっての前作である「明日の子供達」は社会的問題をあからさまに取り上げた…

炎 VOL2/バーンプレゼンツ(シンコーミュージックエンターテイメント) 8月10日読了

20年ぐらい前まで月刊誌として発行されていた洋楽雑誌「炎」の復刊2号は没後10年を迎えたロニージェームスディオの特集。特集の中の特集として”スターズ”を持ってきているところが俺の購買意欲をそそった。 当時の関係者が語るエピソードはどれも面白い…